地源地産地消への挑戦


(Q):藤本さんが経営するエコファームとは?

(A):平成15年度に農場が開いて今年で4年が経過するエコファームは、南アルプス市の耕作放棄地を利用経営し、多種多様な生命が宿るファーム(畑、水田、樹園地)のことをいい、農場の総合的名称を指します。
 栽培規模は、果樹は10農場に分散し8反、野菜は13農場に分散しおよそ1.5町歩から成ります。栽培体系は地源地産地消(地元で生産される資源を有効に利用しながら、地元で生産されたものを、地元で消費するという概念)を実施しています。



(Q):栽培方法にこだわりなどありますか?

(A):栽培方法は、「作りやすい時期に作る」と言うことと、作物が「本来持っている性質を最大限活かすため、旬に作る」ことを原点とし、露地栽培に取り組んでいます。

栄養(肥料)は近隣の学校給食の残り物から生産したボカシ堆肥に、近隣の集落で養豚(甲州黒豚)経営をしている方から堆肥を提供してもらい、それにファームに生えている草を刈り取り集積し緑肥にしたものとを混合し、独自の堆肥を作り耕地へ還元しています。また、現在家庭から排出される生ゴミの堆肥化も試みています。


さらにできるだけ生物に負担をかけず、将来にわたり継続して農業をするため、野菜栽培に関して農薬・化学肥料は一切使用していません。果物に関しても可能な限りの工夫を試みています。
そして、環境負荷軽減のため、育苗ハウス、トマトの雨よけハウス等の石油化学資材(ビニール等)の使用も最小限に抑えるよう心がけています。


 

(Q):主な収穫物は?

(A):スモモをメインにカボチャ、さつまいも、玉ねぎなどこれまで35品目110品種の野菜、果樹、穀物を栽培し、現在は時下採取を行い、地域に合った品種を選抜し育成しています。

スモモの収穫は毎年6月中旬〜8月初旬ですが、完熟に近い状態にするためやや遅らせ、6月下旬〜8月中旬が適当だと思われます。野菜は早期のもので7月中旬から収穫を開始しています。
              *藤本さんのスモモはこちら




(Q):農家経営を始めたきっかけは?

(A):私が「百姓になりたい」と考えるようになったのは小学校3,4年生の時です。食事以外は百姓である祖父の後をずっとついて歩いていたらしく、母方の祖父母が百姓になるきっかけを与えてくれたと今でも感謝しています。

祖父は卵鶏、肉豚や、すもも、柿、キュウイの生産で、畜産と果樹の複合循環農業に携わっていた。祖父は身体が壊れるまで祖母と2人だけで従事し、私が小学5年生の時祖父の家から豚がいなくなりました。なんだかとても寂しかったのは今でも覚えています。


それから10年が経ち、私は農家になりました。両親は農家ではなく、私1人が法制上の農家です。

そして、さらに3年が経ち、祖父との別れが訪れました。

私は祖父が築いてきた農業を継承し、農業を土台とした誇りある地域・誇れるふるさとを育て、農業の美しさを伝えることを志としています。

将来私がおじいさんになっても今日のように隣近所に住む方たちと、食べるものに困らず笑顔が溢れ、安心して暮らせる生活圏が永きに渡って続いていくようこれからも取り組んでいくつもりです。


せめて私は・・


(Q):これからの藤本さんは?


(A):合言葉の「せめて私は・・」を胸に、地源旬地産旬地消にこだわり、自家採取をしながらその土地・風土に適したものを選び、その種子で地域独自の野菜・果物を育てる百姓をしていきます。
特に、果樹王国山梨の南アルプス市において、スモモの故郷に住まう1人として、スモモの本当の味・おいしさを通し故郷の想いを伝えていければと思っています。

また、耕作放棄地や遊休地を積極的に借り受け、食糧生産・農業体験を通じ、食量生産地・景観の維持と共に「土いじり」の楽しさを伝えていくつもりです。
「田畑」をみると、その時代を生きる人の「心」を表しているように感じられます。「心」の豊かさを感じられる農を土台とした地域づくりへ向けて、「私にできることは何だろうか?」と常に問いながら行動していきたいですね。


                                     *藤本さんのスモモはこちら




2007年7月24日  取材者 山口寛人

 藤本さん(27)との出会いは、私が参加していたある勉強会がきっかけでした。その際、意気投合して徹夜で語り合ったことを懐かしく思い出します。藤本さんは農業の他にも実は複数の顔を持ち、昼間は農業高校で農業の尊さ・苦しさ・美しさを伝え、夜間は自己研磨のためと介護ヘルパーまでこなしており、頭が下がる思いです。

また、山梨でほったらかし畑を再び開墾し、地元の学校給食に提供するNPO法人の準備を現在藤本さんと共同して行っています。
私自身「土いじり」をしていて感じることは、自然と触れ合うことで普段感じることのない「心」の豊かさを味わうことができます。日常における不安や悩み事も実は取るに足らないものなんだと気付かせてくれる、そんな視点から農業に携わってみるのも1つの方法なのかもしれません。



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